生前贈与について教えてください
Q1.生前贈与とは何ですか?メリット、デメリットについて教えてください。例えば、父から生前贈与を受けたとして、実際に亡くなった際に、何か問題は発生しますか?
生前贈与とは、被相続人が相続人や第三者に、相続が発生する前に財産を贈与することを指します。相続税対策として広く活用されていますが、その効果やリスクについて理解しておくことが大切です。
【生前贈与のメリット】
1. 相続税の節税効果
生前贈与を活用することで、相続財産を減らし、相続税の負担を軽減することができます。特に、年間110万円以下の贈与であれば非課税なので、長期的な節税対策として有効です。
2. 財産の早期分配
相続時のトラブルを避けるために、生前に財産を分配することが可能です。被相続人の意思に基づいて資産を分けることができるので、「誰にどの財産を渡すか」を決めることが可能で、家族間の争いを防ぐ効果があります。
3. 生活支援
子供や孫の学費や住宅購入など、生活基盤の安定を目的とした贈与ができます。これにより、若い世代を早期にサポートすることが可能です。
【生前贈与のデメリット】
1. 贈与税の負担
贈与額が年間110万円を超えると、累進課税方式に基づく贈与税がかかります。大きな金額を一度に贈与すると税負担が増す可能性があります。そのため、不動産等を贈与する場合には注意が必要です。
2. 遺留分侵害のリスク
特定の相続人に対して過剰な贈与を行うと、他の相続人の遺留分を侵害することがあります。この場合、生前贈与を受け取った人が他の相続人から、遺留分侵害額請求を受ける可能性があります(民法1046条)。そうすると、生前贈与を受け取った相続人が、財産を返還しなければならない可能性があるため注意が必要です。
Q2.父親が亡くなったらどうなるのでしょうか?
生前贈与を受けた後、贈与者(父親など)が亡くなった場合、相続時に発生する可能性がある問題は以下の通りです。
1. 特別受益として計上される
生前贈与を受けた財産は、相続時に「特別受益」として扱われ、他の相続人と公平に財産を分配するための調整が行われることがあります。つまり、他の相続人との公平性を保つために、生前贈与を受けた分が相続財産に加算されることがあります。そうなると、生前贈与を受けた分、相続時に遺産として受け取れる財産が減ってしまいますので注意が必要です。
2. 相続税の加算を受ける
贈与から3年以内(※注)に被相続人が亡くなった場合、その贈与は相続財産に加算され、相続税の対象となるため、贈与のタイミングが重要です。つまり、相続開始前に贈与を行っても、その贈与が短期間であれば相続税の計算に影響を与えることになります。生前贈与をお考えの際は、早めに行うことも重要です。
※注:令和6年以降に贈与される財産については、相続税の対象になる期間が順次延長され、最終的には相続開始前7年以内に行われた贈与が相続財産に加算される対象になります。
~まとめ~
生前贈与は相続税対策として有効ですが、贈与税や遺留分などの問題もあります。専門家に相談し、計画的に進めることが、家族全員の利益を守るために大切です。
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