後見について教えてください
Q 認知症である親と一緒に銀行へ行き、その旨を説明して預金を引き出そうとしたところ、「認知症であれば成年後見人をつけてください。」と言われました。成年後見制度とはどのようなものですか。制度の内容やメリット・デメリットなど教えてほしいです。
A 成年後見制度とは、認知症などによって物事を判断する能力が十分でない方(ここでは「ご本人」といいます。)について、ご本人の権利を守る援助者(「成年後見人」等)を選ぶことで、ご本人を法律的に支援する制度です。
成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。法定後見には後見・保佐・補助の3種類があります。
以下は、法定後見のうちの後見について説明します。
後見
〇対象:判断能力が全くない方
〇申立権者:ご本人、配偶者、四親等以内の親族、検察官、市区町村長など
〇成年後見人の権限:財産管理についての全般的な代理権、取消権(日常生活に関する行為を除く。)
メリット・デメリット
1 メリット
(1)財産・収支管理
成年後見人が財産管理を行うため、判断能力が全くない方の財産や権利を守ることができます。
具体的には、成年後見人が預金や不動産の管理、費用の支払いなどもご本人に代理して行うことができるようになります。
(2)契約管理
成年後見人が、ご本人の利益を考えながらご本人を代理して契約などの法律行為をしたり、ご本人がした不利益な法律行為を後から取り消すことができます(日常生活に関する行為を除く。)。
(3)その他
ご本人が判断能力が全くない場合でも、相続人である相続が開始したときに、成年後見人がご本人を代理して遺産分割協議をすることができます。
また、ご本人が株主であるときに、成年後見人がご本人を代理して株主権を行使できます。
2 デメリット
(1)手続きの頻雑さと時間がかかること
成年後見人選任申立は家庭裁判所での審査が必要であり、手続きが頻雑です。
また、成年後見人の申立てから選任まで1~2か月程度かかる場合があります。
(2)費用がかかること
成年後見人の選任申立の際に、手続費用が発生します。
また、成年後見人が選任された後、報酬が発生する場合があります。特に専門職が成年後見人になる場合は、財産の額に応じて、月額3万円~月額6万円程度の費用がかかることがあります。
手続き
(1)申立て
家庭裁判所に必要書類を準備して申し立てを行います。必要な書類には、診断書、ご本人の戸籍謄本、親族関係書類、財産目録の作成などが含まれます。
(2)家庭裁判所の審査
家庭裁判所が申立書類の内容を確認し、審査します。必要に応じて、ご本人や関係者への面談またはヒアリングが行われることもあります。
(3) 成年後見人の選任
家庭裁判所が適切な後見人を選任します。成年後見人には、親族が選ばれる場合もあれば、専門家(弁護士、司法書士、社会福祉士など)が選ばれる場合もあります。
(4)成年後見人の活動開始
成年後見人は、家庭裁判所の指示に基づき、ご本人の財産管理や生活支援を開始します。
その後、定期的に家庭裁判所に報告を行う義務があります。
まとめ
成年後見制度は、ご本人の権利を守るために重要な役割を果たしますが、メリットとデメリットをよく理解した上で利用することが重要です。
弁護士法人ウィンクルム法律事務所では、成年後見人選任申立のサポート業務を行っております。
成年後見人申立を検討されたい方はぜひ一度ご相談ください。
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